パリと狼谷村の二拠点生活が始まった。わたしは週に3日ほど国民衛兵隊に出仕し、その間はマロン館に滞在する。アンドレは5日から6日の出勤だ。わたしが出仕しない日は、アンドレは狼谷村からパリへ通うことになった。
狼谷村はパリの中心地まで約2リュー(約10㎞)強。盲目のアンドレが単独で移動するには距離的にも環境的にも厳しい。そこで、アンドレだけがパリへ出勤する日は、狼谷村から農作物を運ぶ荷車隊に同行することになった。
パリの食料供給元の一つである狼谷村からは、毎朝十数台の荷車がパリの中央市場へ野菜や乳製品を出荷しに行くので、それに便乗するわけだ。市政も国政もカオス状態な中、治安は非常に不安定なので、騎兵姿のアンドレが同行することを村人は有り難がった。
パリに隣接した狼谷村では、情報の混乱が少なかったため、バスティーユ後に各地で吹き荒れた領主館焼き討ち強奪の嵐は見られなかったが、街道には食い詰めた物取りが出現する。
7月13日にはオクトワ(通行税)を徴収するための市門が焼き討ちにあったことで、徴税は事実上停止している。村人は徴税されないことを喜ぶ反面、憲兵の立ち会いがなくなったことに不安を募らせていたので利害が一致したわけだ。
荷車の列は1時間かけてパリへ着く。単騎で駆け抜けるより倍以上の時間がかかるが、荷車について行くよう調教した馬がアンドレを安全に運んでくれる。馬は中央市場の一角に借りた馬房に預ける手配をした。
少々の手間賃を払うと、交代で誰かが国民衛兵隊本部付近までアンドレと一緒に歩いてくれる。市場内は運び込まれる荷の位置刻々と変わるし、ぬかるみの酷い地面には、縦横無尽に木板が敷いてあり、足場が非常に悪いからだ。
この方法には、帰宅時刻を荷車隊と合わせることが難しいという問題があったが、それもじきに解決した。まあ、これを解決と言って良ければだが。
「やっほー、美味そうな匂いだ、いっただきま~す」
「すげえ、ベーコンが入っているぞ、ラッキー」
「すいませんねえ、新婚家庭にズカズカ入り込んじゃって」
狼谷村の我が家で、今夜一緒に食卓を囲むのはアラン、ラサール、アントワーヌ、ジョルジュ、そしてユランだ。彼らはパリから帰宅するアンドレに同行してくれたあと、そのまま我が家に尻を落ち着けている。
こうなったきっかけは、司令部で門衛当番を終えたメルキオールが、退勤しようとしていたアンドレに村まで同行しようと申し出てくれたことだった。
帰宅を急ぐアンドレはありがたく好意を受け取り、我が家まで誘導してくれた彼を夕食に誘ったのは自然な流れだった。パリの食糧事情は依然厳しく、兵も食には苦労していた。狼谷村では野菜や卵を農家から直接買うことができたので、贅沢を言わなければ、食客のひとりやふたり、どうとでもなった。
メルキオールが夕食にありついた上にわたしと会ってきたという噂は、旧衛兵隊バスティーユ組を中心にあっという間に広がった。
『アンドレを送っていき隊』が瞬く間に結成され、シフトまで組まれたらしい。気づけば一度に5~6人ほどがやって来るようになった。
順番で決めたシフト日以外の訪問禁止、長居厳禁、片付け必須、村人とのトラブル厳禁など、一応の紳士協定が連中の間で結ばれたと聞いている。
そこで、家具調度が何もなかった我が家岩窟館に、アンドレは急遽大テーブルと椅子10脚、食器10組を仕入れた。ほろ酔い加減で寝込んでしまう兵士が続出したので、屋根裏部屋には雑魚寝用わら布団と毛布10組も用意した。長居厳禁条例はあっさり反故にになった。
わら布団ではあんまりだろう、と一応意見はしたが、十分過ぎるとアンドレは取り合わず、わたしを起こしたくないときなど、ときどき自分もそこで寝ている。
以来、我が家では週2度ほど賑やかな夜を迎える運びになった訳だ。
「おい、おまえ達ジャガイモ残すなよ!腹一杯食いたかったら早く慣れるんだな」
ふかし芋の大皿を持ったアンドレがキッチンから出てきた。それを見ていたアランがさっと立ち上がり、素早く歩み寄る。
「そら、それ貸せ」
「え?メルシ」
兵士との会食のために準備した大テーブルは、思いがけずアンドレの移動を助ける良い指標になっていて、彼は皿をテーブル運ぶくらい難なくできるのだが、ここに来るとアランはやけに過保護になる。
奴は『アンドレ送り隊』シフトとは別枠らしく、毎週少なくとも1日はやってくる。ただ飯はしっかり食らうが、真の目的は他の兵士らが羽目を外したり、夜通し騒いでわたしを寝不足にしないよう、監視に来ているみたいだ、とはアンドレの見立てだ。
しかも、何かとアンドレを手伝ってくれている。
「おらおらおめえら、皿どけて場所空けろ」
アンドレから大皿を取り上げたアランがドンと音を立てて皿を置き、ジャガイモにまだ馴染みのない兵士に食べ方を説明する。何度も我が家に来ているので慣れたものだ。アンドレは後ろに下がり、腕組みをして苦笑いしている。
ジャガイモは、料理人を抱えるような階級の間では食用として認知が進んだが、庶民の間ではまだ家畜の餌という認識が根強い。その見かけから、病気の元になる不吉な食べ物という迷信も残っている。
今年は幸い小麦の豊作が見込めそうだが、まだ端境期だ。亡命貴族が持ち出した大量の通貨のせいで流通は混乱し、この夏は川枯れが相次ぎ製粉が滞っている事情もあり、パンの値は右肩上がりを続けている。
兵士らを満腹させるに足りるパンを確保することは難しく、我が家では毎食ジャガイモが主食として登場する。兵士の中にはまだ抵抗を示す者がいるので、この非常に優秀な代替食料に慣れさせるべく、我が家でささやかな意識改革中と言えば大げさか。
「いいか、こうして潰してだな、塩こしょう振ればうまい。汁物に入れればぱさつかない。パン食わなきゃ力が出ねえなんざ、ただの思い込みだ、そら食え」
アランは乱暴にいもをヘラで潰し、尻込みする兵士のスープ椀に端から勝手にぶち込むので、アンドレが止めに入った。
「まあ、そう無理強いするなよ。そうだ、熱いうちにバターをのせてやれば食べやすくなるんじゃないか」
「こいつらにバターなんぞ勿体ないねえ、隊長にとっておけよ」
「牛乳は近所の酪農農家から買えるし、またおまえが樽を回して作ってくれればいいさ」
「おい簡単に言うな、あれ4時間くらいかかるんだぞ」
「あはは、大したもんだ。普通は6時間かかるとさ」
アンドレの子供の頃の友人、ガストン・プラスローがその酪農農家だが、先日牛乳を買いに行った際に見せてもらったのが、樽を利用したバター製造機、バターチャーンと呼ばれるものだった。
樽を高速回転させる機械軸が取り付けてあり、取っ手を回して作動させる。遠心力を使って牛乳からバターを生成する道具だが、何とアンドレの父、レオン・グランディエが作ったものだから、とわざわざ納屋から出して見せてくれたのだ。
レオン・グランディエの遺品は殆ど残っていないが、村のあちこちに彼の仕事が残っており、現役で活躍中なのだそうだ。彼は脱穀や製粉効率を上げる遠心調速機の設計で有名で、今もその技術は活用されている。
レオン・グランディエは、自村には特許料を免除していたばかりでなく、耕作機やハーベスター(収穫機)の車軸に手持ちの技術を応用して農作業の効率化に寄与していた。
プラスロー家のバターチャーンもその一つなのだが、残念なことに、人手の問題で、バターは商品化できず自家用にとどまっていると聞いた。そこで、アンドレがたまたま屋根裏で寝ていた人手(アラン)を差し出したところ、なかなか質の良いバターができたと言うわけだ。
「ベルナールのところにおまえが作ったバター持ち帰ったんだろ?ロザリーが喜んでいたぞ。今は貴重品だ。いいじゃないか」
アンドレはアランの返事を待たずにさっさとキッチンに戻って行った。残されたアランはちっと舌打ちした。わたしはジャガイモをひとさじ掬うと、ゆっくり口に入れ、4人の兵士に向かってウインクした。
「うん、うまい。アラン、おまえの塩加減なかなかいけるぞ」
アランはぷい、と横を向き、バター壺を持って来たアンドレからそれを奪うと肘で突いた。
「おまえは早く隊長の隣に戻って世話しろよ」
わたしはもうおまえ達の隊長ではないのだがな。だから、実は、このささやかな夕食会が始まったことに感謝している。
元フランス衛兵隊は、素人軍団である国民衛兵隊を指導する基軸兵として、国民衛兵隊の小隊ごとに分散配属された。わたしが率いる第三師団に配属された一部の元衛兵を除き、部下はわたしの手を離れて行った。
それが、こんなリラックスした形で再び会えるようになったのは嬉しい誤算だった。直に顔を見て、近況を聞いたり、個人的な相談に乗りつつ、雑談の中で編成中の国民衛兵隊の課題が浮き彫りになったりする。最も、今のところは課題しかないが。
今夜は、どうやらユランが熱弁を振るう夜になりそうだ。
「射撃訓練ばかりやりたがるので手を焼いています。そのくせ、手入れはずさん、武器の安全管理の意識が育たない。基本陣形訓練は退屈すぎると苦情が出る始末で。毎日が忍耐勝負です」
現在一地区につき5中隊が配属されていて、うち1中隊がユランのように軍経験のある有給専任兵で構成されている。残りの4中隊400人をある程度軍の形に仕上げるのは専任兵の仕事だ。
「徴用でない自発的な市民軍を組織するのは初めての試みだ。挑戦し甲斐のある仕事じゃないか。しかし、職業軍人である我々の常識を市民に押しつけるのは当然無理があるし、おまえ達には厳しい任務なのは間違いない。何もかも一度に教えようとするな。反発を食らうぞ」
「もうしっかり食らっていますよ」
礼儀正しいユランにしてはめずらしい憮然とした態度だ。ユランの年齢なら、年上の新兵に舐められることは少ないと思っていたが、そうでもなかったか。
「当面、市民兵の戦争適用は想定外だから、陣形訓練はひとまず脇に置いて、基本の隊列をマスターする程度でいいだろう。殺傷能力のある武器携帯倫理と安全管理は徹底してたたき込め」
そう言ってやると、真面目なユランは頭を抱えた。
「ですが、あまりにも酷すぎます。そもそも命令に従うことの何たるかが全くわかっていない」
「それが理解できれば、基礎訓練は半分終了したも同じだ。焦るな、ユラン。装備を自前で揃えることができる市民の集まりを指導するのだぞ。彼らのほとんどが事業主だろう。命令されるよりは、命令する方に慣れている面々だ。一朝一夕で切り替えられるはずはない」
「そうですね。少し急ぎすぎたかも知れません。限られた訓練時間で、伝えられる限り伝えようとしていました」
「彼らは本業を持つ無給のボランティアだということも忘れてはいかんな。時間の制約は当然だし、正規軍並の規律を押しつける訳にはいかん」
「はい。わかってはいるのですが、いざ訓練となるとつい」
「おまえの実直さは宝だな、ユラン。担当地区はどこだ?」
「第二師団、コルドリエです」
「そうか、急進的な地区だな。師団長はロシエール伯だったか。訓練内容について具体的な指示は出ているか?」
「いえ、特には」
元フランス衛兵の希望者は全て専任兵として送り込んだが、いくら軍経験があると言っても指導技術まで兼ね備えているわけではない。各師団長が部下に細かく指示を与えるなりサポートするなり、しっかり統率して欲しいところだが、実情は若い彼らに丸投げ状態だ。
地区によって隊運営のばらつきが激しいことがかねてから懸念されているが、せめて基本理念くらいは統一しないとただの威張りくさった自警団の集まりになってしまう。
「ラファイエット候は議会で忙しいが、少し話をする必要があるな。運営基準と訓練要項の統一について、提案してみよう」
ラファイエット侯の名が出ると、アランが憮然としてダン!と音を立ててマグをテーブルに叩きつけた。彼に言わせれば、候はわたしの功績を横取りして司令官にふんぞり返る、アメリカかぶれの孔雀野郎なのだそうだ。
「あいつは人気取りしか考えてねえよ。面倒なことは丸投げで」
「なら、尚のこと都合がいい。あっさりと裁可してくださるだろう」
「隊長の根回しで全体の統制ができ上がるのを待って、奴が司令官面しに来るだけですよ」
「構わん。その方がやりやすい」
アランも専任兵でユランと同じ立場だが、性分からしてユランより苦労していることは想像に難くない。しかし、今夜はユランのサポート日と心得ているらしく、訓練内容には口出しせずにいるところに成長が見える。少し感動してしまった。
感慨に浸るわたしを尻目に、アンドレは天井を斜めに見上げるように笑いを堪えている。何を考えているか、丸わかりだ。差し詰め『去年までのおまえらだって似たようなもんじゃないか』か。口に出して言わないのは、彼自身の荒れっぷりも良い勝負だったからに違いない。
給仕を終えて、ようやくわたしの隣に座ったアンドレが、自分のためにスープと芋を取り分けようとしたので、小声で『右30度だ』指示を出す。見えているかのような手つきで大皿を引き寄せながら、アンドレがふと思いついたように言った。
「訓練の一環として、専任兵チーム対新兵チームで模擬戦なんかどうかな」
模擬戦か。近衛でもフランス衛兵でも実施することがあったが、ここ国民衛兵では実力差が大きすぎて考えもしなかった。
「実際に勝負してコテンパンに負ければ、弾薬充填のスピードとか陣形の維持とか、指揮官に反応する速度が勝っているほうが強い、って実感するんじゃないか?理屈で説明するよりもさ」
なるほど、とわたしが反応する前にアランが、おもしれえじゃんか、それ、と腰を浮かした。ユランもほう!と手を打っている。
「実戦の形はまだ無理かも知れないが、個々の技術ごとに分けた勝負ならば可能かも知れないな」
コマンドに合わせ、一斉射撃の構えが早く揃った方や、隊列を維持したまま先に決まった距離を移動できた方にポイントをつけるとか、勝敗がわかりやすく決まる形にして競わせれば、闘争心に火が付くかも知れない。と、わたしの気分も上がったところにアンドレが水を差した。
「おまえはルール決める係ね。指揮しちゃだめだ」
「え?それはないだろう?」
「やっぱり。絶対に指揮官やるつもりになっていると思った」
わたしの考えもアンドレに筒抜けだ。テーブルがわっと盛り上がった。
「そうですよ、隊長。おれらに任してくださいよ」
「ぜ~ったいやっつけますから」
「目にもの見せてくれますよ!」
「隊長はふんぞり返って是非高みの見物をば!」
失笑するしかなかった。子供のように無邪気に喜ぶ部下達。楽しいのは結構だが、その油断はひょっとしたらひょっとすると負けに繋がるぞ、と危惧したらアランが一喝した。
「おまえら調子に乗って負けたら目も当てらんないぞ!かえって連中を助長させるだけだからな」
のんびりとアンドレが同意する。
「全くな~」
「何だよ、言い出しっぺが」
「おまえが一番先に乗ったよな」
「見ていたようなこと言うなよ」
「地獄耳でね」
アランとアンドレは、不思議な絆を育てている。わたしが言うのも面はゆいが、アランの中には複雑な感情が渦巻いてもおかしくないのに、もう何十年もの付き合いがある友人同士のようだ。
アンドレがアランに変な遠慮を一切しないことが、アランにとって気安いのだろう。だから、わたしも自宅では夫婦の距離でアンドレと会話する。アランは自分の意思でここにいるのだから。
「わたしはもう実戦には出ないのだから、模擬戦くらいやらせろ」
「おまえの立場で特定の大隊に肩入れはまずいだろ?」
「肩入れじゃない、訓練だ」
「おまえを指揮官に持ったチームは、その時点で勝負が決まったも同然だろ?部下に花持たせろよ」
そうだ、そうだ、と部下達がまた盛り上がったので、仕方ないな、頼んだぞと頷いてやったら、拍手が上がった。やれやれだ。上機嫌なノリの流れで、ラサールが、邪気なく疑問を呈す。
「隊長、どうしてもう実戦に出ないんですか?あっ、いてて」
すかさずアランが彼の脳天に拳骨をくれた。結構繊細な男だ。荒っぽく見せて実は気遣いが細やかなのだ。
「わたしの身体はポンコツだからな。命を預かるのは無責任が過ぎるだろう?」
わたしは、余裕の笑みを浮かべ、軽くいなした。いや、そうしたつもりだったが、口に出して見ると思ったよりも身に堪えた。本当は、不甲斐なくて辛いのだ。部下に対しても、夫に対しても。作り笑いをしようとしたら、ふと、肩を抱かれた。
「ポンコツとか言うな。只今メンテ中だから大事にしてるの」
アンドレだ。抱き寄せて髪をわしゃわしゃとかき回した挙げ句、こめかみに長めのキスまでするものだから、若い部下らが口笛を鳴らし、囃し立てた。対するアンドレは、おれんちだぞ、文句あるか、と言い返している。
凍りそうになった場の空気は、たちまち和んだ。わたしと部下の間をリラックスした空間にするのは彼の十八番なのだ。わたしだけでは引き出せない部下の本音は、彼が同席していてこそ聞くことができる。
アンドレはメンテ発言が出たのを機に、わたしに退席を促した。
「じゃあ、ご期待に応えて化粧直しに行こうか、オスカル」
「ひゅ~っ!羨ましい~」
「だろ?じゃあな」
実は、十時をまわる前に、わたしが寝室に引き取るのもひとつの約束事になっている。だから、予定通りなのだが、わざと思わせぶりな台詞を吐いて、アンドレは男らを煽った。おまえたちは遠慮しないで勝手にやってくれ、と彼は言外に匂わせて客人を寛がせるのだ。
そういうところは憎らしいほど上手いと思う。だから、わたしも首に縄をかけられた身振りをして見せて協力した。本当は、わたしも夜通し他愛のない雑談に興じたい。彼らとの時間はとても楽しくて、わずかな酒量で幸せになれる。それなのに、こうしておとなしく連行されるのだから、わたしもヤキがまわったものだ。
「可愛そうな隊長」
「名残惜しいですけど、お体大事ですよ」
アンドレは、洗面の準備をするために席を立った。つい、その背中を目で追うわたしをアランがチラ見しながら一気にワインをあおった。
「美味いっすね、これ」
「そうか?まだ若すぎると思うが」
「おれらには十分ですよ、酒も食事も。でも、隊長はどうなんです?」
妙に真面目に切り込んでくるアランに、わたしはどういう意味だ?と眉を動かし問い返した。
「ここじゃおれら気安く長居できます。でも、隊長にとって快適なんすか?生活の質、えらく下がったんじゃないですか?慣れない環境で、実際身体休まるんですか?」
アラン以外、誰もそんなことは考えていなかったのだろう。楽しそうに飲んでいた他の4人の視線が一斉にわたしに集中した。
「う・・・ん、そうだな」
わたしはしばし考えた。渋くて酸味の強いワイン、ベーコンと野菜を煮込んだだけのシンプルなメイン、一種類だけのチーズ、むき出しのテーブルに錫製のマグ、木製のスプーンに素焼き陶器。慣れないと言えば、その通りだが。
「わたしは豪華一点主義でな、これだけは譲れない贅沢をひとつ享受しているから、他はあまり気にならない」
それを聞いたアランは眉間を歪ませ口角を上げた。ほう、意味がわかったか。無邪気にラサールとジョルジュが好奇心一杯に身を乗り出した。
「え~っ、何ですか隊長の贅沢って?」
わたしの寝支度準備を終えたアンドレが居間に戻って来る気配を感じ、わたしは急いで勿体をつけた。
「ふふ、知れたこと」
「何ですか、教えてくださいよ」
苦笑いをかみ殺したアランは行儀悪く頬杖をつき、視線で同僚を牽制しようとしているが、全く気づかない4人はざわついた。いいだろう、教えてやるとも。アンドレがリネンを腕にかけて戻って来たので、わたしは親指で彼をくいっと指し示した。
「湯の準備ができている、オスカル。時間だよ」
「伴侶だ」
一瞬の間をおいて、居間にアンドレの悲鳴が上がった。
賑やかな夜が更けていく。多分今夜も全員が泊まって行くことになるだろう。部下たちが泊まる夜は、アンドレも一緒に屋根裏で雑魚寝する。わたしに一人寝の時間を確保できるし、客人が妙な気を使うことがないから丁度良いと彼は言う。
正直、寂しいが、男達の楽しげな雑談を遠くに聞きながら眠りに落ちる幸せを噛みしめるのも悪くない。喉の奥からこみ上げる小さな咳が教えてくれる。わたしにはまだやり残したことがあると。この身体と病魔とは何としてでも折り合って見せよう。
狼谷村はパリの中心地まで約2リュー(約10㎞)強。盲目のアンドレが単独で移動するには距離的にも環境的にも厳しい。そこで、アンドレだけがパリへ出勤する日は、狼谷村から農作物を運ぶ荷車隊に同行することになった。
パリの食料供給元の一つである狼谷村からは、毎朝十数台の荷車がパリの中央市場へ野菜や乳製品を出荷しに行くので、それに便乗するわけだ。市政も国政もカオス状態な中、治安は非常に不安定なので、騎兵姿のアンドレが同行することを村人は有り難がった。
パリに隣接した狼谷村では、情報の混乱が少なかったため、バスティーユ後に各地で吹き荒れた領主館焼き討ち強奪の嵐は見られなかったが、街道には食い詰めた物取りが出現する。
7月13日にはオクトワ(通行税)を徴収するための市門が焼き討ちにあったことで、徴税は事実上停止している。村人は徴税されないことを喜ぶ反面、憲兵の立ち会いがなくなったことに不安を募らせていたので利害が一致したわけだ。
荷車の列は1時間かけてパリへ着く。単騎で駆け抜けるより倍以上の時間がかかるが、荷車について行くよう調教した馬がアンドレを安全に運んでくれる。馬は中央市場の一角に借りた馬房に預ける手配をした。
少々の手間賃を払うと、交代で誰かが国民衛兵隊本部付近までアンドレと一緒に歩いてくれる。市場内は運び込まれる荷の位置刻々と変わるし、ぬかるみの酷い地面には、縦横無尽に木板が敷いてあり、足場が非常に悪いからだ。
この方法には、帰宅時刻を荷車隊と合わせることが難しいという問題があったが、それもじきに解決した。まあ、これを解決と言って良ければだが。
「やっほー、美味そうな匂いだ、いっただきま~す」
「すげえ、ベーコンが入っているぞ、ラッキー」
「すいませんねえ、新婚家庭にズカズカ入り込んじゃって」
狼谷村の我が家で、今夜一緒に食卓を囲むのはアラン、ラサール、アントワーヌ、ジョルジュ、そしてユランだ。彼らはパリから帰宅するアンドレに同行してくれたあと、そのまま我が家に尻を落ち着けている。
こうなったきっかけは、司令部で門衛当番を終えたメルキオールが、退勤しようとしていたアンドレに村まで同行しようと申し出てくれたことだった。
帰宅を急ぐアンドレはありがたく好意を受け取り、我が家まで誘導してくれた彼を夕食に誘ったのは自然な流れだった。パリの食糧事情は依然厳しく、兵も食には苦労していた。狼谷村では野菜や卵を農家から直接買うことができたので、贅沢を言わなければ、食客のひとりやふたり、どうとでもなった。
メルキオールが夕食にありついた上にわたしと会ってきたという噂は、旧衛兵隊バスティーユ組を中心にあっという間に広がった。
『アンドレを送っていき隊』が瞬く間に結成され、シフトまで組まれたらしい。気づけば一度に5~6人ほどがやって来るようになった。
順番で決めたシフト日以外の訪問禁止、長居厳禁、片付け必須、村人とのトラブル厳禁など、一応の紳士協定が連中の間で結ばれたと聞いている。
そこで、家具調度が何もなかった我が家岩窟館に、アンドレは急遽大テーブルと椅子10脚、食器10組を仕入れた。ほろ酔い加減で寝込んでしまう兵士が続出したので、屋根裏部屋には雑魚寝用わら布団と毛布10組も用意した。長居厳禁条例はあっさり反故にになった。
わら布団ではあんまりだろう、と一応意見はしたが、十分過ぎるとアンドレは取り合わず、わたしを起こしたくないときなど、ときどき自分もそこで寝ている。
以来、我が家では週2度ほど賑やかな夜を迎える運びになった訳だ。
「おい、おまえ達ジャガイモ残すなよ!腹一杯食いたかったら早く慣れるんだな」
ふかし芋の大皿を持ったアンドレがキッチンから出てきた。それを見ていたアランがさっと立ち上がり、素早く歩み寄る。
「そら、それ貸せ」
「え?メルシ」
兵士との会食のために準備した大テーブルは、思いがけずアンドレの移動を助ける良い指標になっていて、彼は皿をテーブル運ぶくらい難なくできるのだが、ここに来るとアランはやけに過保護になる。
奴は『アンドレ送り隊』シフトとは別枠らしく、毎週少なくとも1日はやってくる。ただ飯はしっかり食らうが、真の目的は他の兵士らが羽目を外したり、夜通し騒いでわたしを寝不足にしないよう、監視に来ているみたいだ、とはアンドレの見立てだ。
しかも、何かとアンドレを手伝ってくれている。
「おらおらおめえら、皿どけて場所空けろ」
アンドレから大皿を取り上げたアランがドンと音を立てて皿を置き、ジャガイモにまだ馴染みのない兵士に食べ方を説明する。何度も我が家に来ているので慣れたものだ。アンドレは後ろに下がり、腕組みをして苦笑いしている。
ジャガイモは、料理人を抱えるような階級の間では食用として認知が進んだが、庶民の間ではまだ家畜の餌という認識が根強い。その見かけから、病気の元になる不吉な食べ物という迷信も残っている。
今年は幸い小麦の豊作が見込めそうだが、まだ端境期だ。亡命貴族が持ち出した大量の通貨のせいで流通は混乱し、この夏は川枯れが相次ぎ製粉が滞っている事情もあり、パンの値は右肩上がりを続けている。
兵士らを満腹させるに足りるパンを確保することは難しく、我が家では毎食ジャガイモが主食として登場する。兵士の中にはまだ抵抗を示す者がいるので、この非常に優秀な代替食料に慣れさせるべく、我が家でささやかな意識改革中と言えば大げさか。
「いいか、こうして潰してだな、塩こしょう振ればうまい。汁物に入れればぱさつかない。パン食わなきゃ力が出ねえなんざ、ただの思い込みだ、そら食え」
アランは乱暴にいもをヘラで潰し、尻込みする兵士のスープ椀に端から勝手にぶち込むので、アンドレが止めに入った。
「まあ、そう無理強いするなよ。そうだ、熱いうちにバターをのせてやれば食べやすくなるんじゃないか」
「こいつらにバターなんぞ勿体ないねえ、隊長にとっておけよ」
「牛乳は近所の酪農農家から買えるし、またおまえが樽を回して作ってくれればいいさ」
「おい簡単に言うな、あれ4時間くらいかかるんだぞ」
「あはは、大したもんだ。普通は6時間かかるとさ」
アンドレの子供の頃の友人、ガストン・プラスローがその酪農農家だが、先日牛乳を買いに行った際に見せてもらったのが、樽を利用したバター製造機、バターチャーンと呼ばれるものだった。
樽を高速回転させる機械軸が取り付けてあり、取っ手を回して作動させる。遠心力を使って牛乳からバターを生成する道具だが、何とアンドレの父、レオン・グランディエが作ったものだから、とわざわざ納屋から出して見せてくれたのだ。
レオン・グランディエの遺品は殆ど残っていないが、村のあちこちに彼の仕事が残っており、現役で活躍中なのだそうだ。彼は脱穀や製粉効率を上げる遠心調速機の設計で有名で、今もその技術は活用されている。
レオン・グランディエは、自村には特許料を免除していたばかりでなく、耕作機やハーベスター(収穫機)の車軸に手持ちの技術を応用して農作業の効率化に寄与していた。
プラスロー家のバターチャーンもその一つなのだが、残念なことに、人手の問題で、バターは商品化できず自家用にとどまっていると聞いた。そこで、アンドレがたまたま屋根裏で寝ていた人手(アラン)を差し出したところ、なかなか質の良いバターができたと言うわけだ。
「ベルナールのところにおまえが作ったバター持ち帰ったんだろ?ロザリーが喜んでいたぞ。今は貴重品だ。いいじゃないか」
アンドレはアランの返事を待たずにさっさとキッチンに戻って行った。残されたアランはちっと舌打ちした。わたしはジャガイモをひとさじ掬うと、ゆっくり口に入れ、4人の兵士に向かってウインクした。
「うん、うまい。アラン、おまえの塩加減なかなかいけるぞ」
アランはぷい、と横を向き、バター壺を持って来たアンドレからそれを奪うと肘で突いた。
「おまえは早く隊長の隣に戻って世話しろよ」
わたしはもうおまえ達の隊長ではないのだがな。だから、実は、このささやかな夕食会が始まったことに感謝している。
元フランス衛兵隊は、素人軍団である国民衛兵隊を指導する基軸兵として、国民衛兵隊の小隊ごとに分散配属された。わたしが率いる第三師団に配属された一部の元衛兵を除き、部下はわたしの手を離れて行った。
それが、こんなリラックスした形で再び会えるようになったのは嬉しい誤算だった。直に顔を見て、近況を聞いたり、個人的な相談に乗りつつ、雑談の中で編成中の国民衛兵隊の課題が浮き彫りになったりする。最も、今のところは課題しかないが。
今夜は、どうやらユランが熱弁を振るう夜になりそうだ。
「射撃訓練ばかりやりたがるので手を焼いています。そのくせ、手入れはずさん、武器の安全管理の意識が育たない。基本陣形訓練は退屈すぎると苦情が出る始末で。毎日が忍耐勝負です」
現在一地区につき5中隊が配属されていて、うち1中隊がユランのように軍経験のある有給専任兵で構成されている。残りの4中隊400人をある程度軍の形に仕上げるのは専任兵の仕事だ。
「徴用でない自発的な市民軍を組織するのは初めての試みだ。挑戦し甲斐のある仕事じゃないか。しかし、職業軍人である我々の常識を市民に押しつけるのは当然無理があるし、おまえ達には厳しい任務なのは間違いない。何もかも一度に教えようとするな。反発を食らうぞ」
「もうしっかり食らっていますよ」
礼儀正しいユランにしてはめずらしい憮然とした態度だ。ユランの年齢なら、年上の新兵に舐められることは少ないと思っていたが、そうでもなかったか。
「当面、市民兵の戦争適用は想定外だから、陣形訓練はひとまず脇に置いて、基本の隊列をマスターする程度でいいだろう。殺傷能力のある武器携帯倫理と安全管理は徹底してたたき込め」
そう言ってやると、真面目なユランは頭を抱えた。
「ですが、あまりにも酷すぎます。そもそも命令に従うことの何たるかが全くわかっていない」
「それが理解できれば、基礎訓練は半分終了したも同じだ。焦るな、ユラン。装備を自前で揃えることができる市民の集まりを指導するのだぞ。彼らのほとんどが事業主だろう。命令されるよりは、命令する方に慣れている面々だ。一朝一夕で切り替えられるはずはない」
「そうですね。少し急ぎすぎたかも知れません。限られた訓練時間で、伝えられる限り伝えようとしていました」
「彼らは本業を持つ無給のボランティアだということも忘れてはいかんな。時間の制約は当然だし、正規軍並の規律を押しつける訳にはいかん」
「はい。わかってはいるのですが、いざ訓練となるとつい」
「おまえの実直さは宝だな、ユラン。担当地区はどこだ?」
「第二師団、コルドリエです」
「そうか、急進的な地区だな。師団長はロシエール伯だったか。訓練内容について具体的な指示は出ているか?」
「いえ、特には」
元フランス衛兵の希望者は全て専任兵として送り込んだが、いくら軍経験があると言っても指導技術まで兼ね備えているわけではない。各師団長が部下に細かく指示を与えるなりサポートするなり、しっかり統率して欲しいところだが、実情は若い彼らに丸投げ状態だ。
地区によって隊運営のばらつきが激しいことがかねてから懸念されているが、せめて基本理念くらいは統一しないとただの威張りくさった自警団の集まりになってしまう。
「ラファイエット候は議会で忙しいが、少し話をする必要があるな。運営基準と訓練要項の統一について、提案してみよう」
ラファイエット侯の名が出ると、アランが憮然としてダン!と音を立ててマグをテーブルに叩きつけた。彼に言わせれば、候はわたしの功績を横取りして司令官にふんぞり返る、アメリカかぶれの孔雀野郎なのだそうだ。
「あいつは人気取りしか考えてねえよ。面倒なことは丸投げで」
「なら、尚のこと都合がいい。あっさりと裁可してくださるだろう」
「隊長の根回しで全体の統制ができ上がるのを待って、奴が司令官面しに来るだけですよ」
「構わん。その方がやりやすい」
アランも専任兵でユランと同じ立場だが、性分からしてユランより苦労していることは想像に難くない。しかし、今夜はユランのサポート日と心得ているらしく、訓練内容には口出しせずにいるところに成長が見える。少し感動してしまった。
感慨に浸るわたしを尻目に、アンドレは天井を斜めに見上げるように笑いを堪えている。何を考えているか、丸わかりだ。差し詰め『去年までのおまえらだって似たようなもんじゃないか』か。口に出して言わないのは、彼自身の荒れっぷりも良い勝負だったからに違いない。
給仕を終えて、ようやくわたしの隣に座ったアンドレが、自分のためにスープと芋を取り分けようとしたので、小声で『右30度だ』指示を出す。見えているかのような手つきで大皿を引き寄せながら、アンドレがふと思いついたように言った。
「訓練の一環として、専任兵チーム対新兵チームで模擬戦なんかどうかな」
模擬戦か。近衛でもフランス衛兵でも実施することがあったが、ここ国民衛兵では実力差が大きすぎて考えもしなかった。
「実際に勝負してコテンパンに負ければ、弾薬充填のスピードとか陣形の維持とか、指揮官に反応する速度が勝っているほうが強い、って実感するんじゃないか?理屈で説明するよりもさ」
なるほど、とわたしが反応する前にアランが、おもしれえじゃんか、それ、と腰を浮かした。ユランもほう!と手を打っている。
「実戦の形はまだ無理かも知れないが、個々の技術ごとに分けた勝負ならば可能かも知れないな」
コマンドに合わせ、一斉射撃の構えが早く揃った方や、隊列を維持したまま先に決まった距離を移動できた方にポイントをつけるとか、勝敗がわかりやすく決まる形にして競わせれば、闘争心に火が付くかも知れない。と、わたしの気分も上がったところにアンドレが水を差した。
「おまえはルール決める係ね。指揮しちゃだめだ」
「え?それはないだろう?」
「やっぱり。絶対に指揮官やるつもりになっていると思った」
わたしの考えもアンドレに筒抜けだ。テーブルがわっと盛り上がった。
「そうですよ、隊長。おれらに任してくださいよ」
「ぜ~ったいやっつけますから」
「目にもの見せてくれますよ!」
「隊長はふんぞり返って是非高みの見物をば!」
失笑するしかなかった。子供のように無邪気に喜ぶ部下達。楽しいのは結構だが、その油断はひょっとしたらひょっとすると負けに繋がるぞ、と危惧したらアランが一喝した。
「おまえら調子に乗って負けたら目も当てらんないぞ!かえって連中を助長させるだけだからな」
のんびりとアンドレが同意する。
「全くな~」
「何だよ、言い出しっぺが」
「おまえが一番先に乗ったよな」
「見ていたようなこと言うなよ」
「地獄耳でね」
アランとアンドレは、不思議な絆を育てている。わたしが言うのも面はゆいが、アランの中には複雑な感情が渦巻いてもおかしくないのに、もう何十年もの付き合いがある友人同士のようだ。
アンドレがアランに変な遠慮を一切しないことが、アランにとって気安いのだろう。だから、わたしも自宅では夫婦の距離でアンドレと会話する。アランは自分の意思でここにいるのだから。
「わたしはもう実戦には出ないのだから、模擬戦くらいやらせろ」
「おまえの立場で特定の大隊に肩入れはまずいだろ?」
「肩入れじゃない、訓練だ」
「おまえを指揮官に持ったチームは、その時点で勝負が決まったも同然だろ?部下に花持たせろよ」
そうだ、そうだ、と部下達がまた盛り上がったので、仕方ないな、頼んだぞと頷いてやったら、拍手が上がった。やれやれだ。上機嫌なノリの流れで、ラサールが、邪気なく疑問を呈す。
「隊長、どうしてもう実戦に出ないんですか?あっ、いてて」
すかさずアランが彼の脳天に拳骨をくれた。結構繊細な男だ。荒っぽく見せて実は気遣いが細やかなのだ。
「わたしの身体はポンコツだからな。命を預かるのは無責任が過ぎるだろう?」
わたしは、余裕の笑みを浮かべ、軽くいなした。いや、そうしたつもりだったが、口に出して見ると思ったよりも身に堪えた。本当は、不甲斐なくて辛いのだ。部下に対しても、夫に対しても。作り笑いをしようとしたら、ふと、肩を抱かれた。
「ポンコツとか言うな。只今メンテ中だから大事にしてるの」
アンドレだ。抱き寄せて髪をわしゃわしゃとかき回した挙げ句、こめかみに長めのキスまでするものだから、若い部下らが口笛を鳴らし、囃し立てた。対するアンドレは、おれんちだぞ、文句あるか、と言い返している。
凍りそうになった場の空気は、たちまち和んだ。わたしと部下の間をリラックスした空間にするのは彼の十八番なのだ。わたしだけでは引き出せない部下の本音は、彼が同席していてこそ聞くことができる。
アンドレはメンテ発言が出たのを機に、わたしに退席を促した。
「じゃあ、ご期待に応えて化粧直しに行こうか、オスカル」
「ひゅ~っ!羨ましい~」
「だろ?じゃあな」
実は、十時をまわる前に、わたしが寝室に引き取るのもひとつの約束事になっている。だから、予定通りなのだが、わざと思わせぶりな台詞を吐いて、アンドレは男らを煽った。おまえたちは遠慮しないで勝手にやってくれ、と彼は言外に匂わせて客人を寛がせるのだ。
そういうところは憎らしいほど上手いと思う。だから、わたしも首に縄をかけられた身振りをして見せて協力した。本当は、わたしも夜通し他愛のない雑談に興じたい。彼らとの時間はとても楽しくて、わずかな酒量で幸せになれる。それなのに、こうしておとなしく連行されるのだから、わたしもヤキがまわったものだ。
「可愛そうな隊長」
「名残惜しいですけど、お体大事ですよ」
アンドレは、洗面の準備をするために席を立った。つい、その背中を目で追うわたしをアランがチラ見しながら一気にワインをあおった。
「美味いっすね、これ」
「そうか?まだ若すぎると思うが」
「おれらには十分ですよ、酒も食事も。でも、隊長はどうなんです?」
妙に真面目に切り込んでくるアランに、わたしはどういう意味だ?と眉を動かし問い返した。
「ここじゃおれら気安く長居できます。でも、隊長にとって快適なんすか?生活の質、えらく下がったんじゃないですか?慣れない環境で、実際身体休まるんですか?」
アラン以外、誰もそんなことは考えていなかったのだろう。楽しそうに飲んでいた他の4人の視線が一斉にわたしに集中した。
「う・・・ん、そうだな」
わたしはしばし考えた。渋くて酸味の強いワイン、ベーコンと野菜を煮込んだだけのシンプルなメイン、一種類だけのチーズ、むき出しのテーブルに錫製のマグ、木製のスプーンに素焼き陶器。慣れないと言えば、その通りだが。
「わたしは豪華一点主義でな、これだけは譲れない贅沢をひとつ享受しているから、他はあまり気にならない」
それを聞いたアランは眉間を歪ませ口角を上げた。ほう、意味がわかったか。無邪気にラサールとジョルジュが好奇心一杯に身を乗り出した。
「え~っ、何ですか隊長の贅沢って?」
わたしの寝支度準備を終えたアンドレが居間に戻って来る気配を感じ、わたしは急いで勿体をつけた。
「ふふ、知れたこと」
「何ですか、教えてくださいよ」
苦笑いをかみ殺したアランは行儀悪く頬杖をつき、視線で同僚を牽制しようとしているが、全く気づかない4人はざわついた。いいだろう、教えてやるとも。アンドレがリネンを腕にかけて戻って来たので、わたしは親指で彼をくいっと指し示した。
「湯の準備ができている、オスカル。時間だよ」
「伴侶だ」
一瞬の間をおいて、居間にアンドレの悲鳴が上がった。
賑やかな夜が更けていく。多分今夜も全員が泊まって行くことになるだろう。部下たちが泊まる夜は、アンドレも一緒に屋根裏で雑魚寝する。わたしに一人寝の時間を確保できるし、客人が妙な気を使うことがないから丁度良いと彼は言う。
正直、寂しいが、男達の楽しげな雑談を遠くに聞きながら眠りに落ちる幸せを噛みしめるのも悪くない。喉の奥からこみ上げる小さな咳が教えてくれる。わたしにはまだやり残したことがあると。この身体と病魔とは何としてでも折り合って見せよう。
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COMMENT
身悶えするほど(私が)の幸福をありがとうございました(T^T)目の前に幸せな風景が見えるようです。『アンドレを送っていき隊』最高です!
今日読むことが出来て心の平穏を保てそうです。ありがとうございました。
今日読むことが出来て心の平穏を保てそうです。ありがとうございました。
もんぶらんさま
暁シリーズの新作!嬉しいです。
またまた背景に詰め込まれた知識が素晴らしくて勉強になります。
オスカル様ったら堂々と最上級のお惚気を…アランせつないなあ 笑 心温まるお話をありがとうございます♡
37.狼谷村Ⅳ
暁シリーズの新作!嬉しいです。
またまた背景に詰め込まれた知識が素晴らしくて勉強になります。
オスカル様ったら堂々と最上級のお惚気を…アランせつないなあ 笑 心温まるお話をありがとうございます♡
37.狼谷村Ⅳ
Roseキャベツさま
「幸福」という言葉を思い浮かべただけで「こんな幸福を初めて知りました」って頭の中にリフレインしません?しませんか…(ショボン)13日ですから、私も幸福な風景見たくて、起承転結なんてない、ただの風景を書いた感じです。お読み下さってありがとうございました❣
「幸福」という言葉を思い浮かべただけで「こんな幸福を初めて知りました」って頭の中にリフレインしません?しませんか…(ショボン)13日ですから、私も幸福な風景見たくて、起承転結なんてない、ただの風景を書いた感じです。お読み下さってありがとうございました❣
かえでさま
はい、オスカルさまにもアンドレにも惚気て欲しくて。久しぶりの暁シリーズ本編ですが、他にも2人にして欲しいこと、ぜんぶやって貰うつもりでいます。お読み下さってありがとうございました!
はい、オスカルさまにもアンドレにも惚気て欲しくて。久しぶりの暁シリーズ本編ですが、他にも2人にして欲しいこと、ぜんぶやって貰うつもりでいます。お読み下さってありがとうございました!
もんぶらんさま 素敵な作品ありがとうございます!
いやぁ懐かしのメンバー、元気そうですね。良かった良かった。
アンドレ送り隊 うん、やっぱり良いなぁ。彼もオスカルさまも愛されてる!
アンドレ提案のこの模擬戦、ワクワク楽しみに待ってますね。
いやぁ懐かしのメンバー、元気そうですね。良かった良かった。
アンドレ送り隊 うん、やっぱり良いなぁ。彼もオスカルさまも愛されてる!
アンドレ提案のこの模擬戦、ワクワク楽しみに待ってますね。
もんぶらん様
暁シリーズの新作、ありがとうございます。
私、暁シリーズ、本当に好きなんです。
革命後の混乱や、オスカル様の病や、アンドレの目のことや、いろんな難題を抱えながらも二人が愛を育んで、幸せを感じている・・・・。
衛兵隊のみんなも元気だし、嬉しすぎます。
読んでいて自分も幸せな気持ちになれます。
もちろん、原作崇高ですが、二人の幸せな時間があまりにも短くて、それが悲しくて悲しくてしょうがなかったのです。
二次の世界なら、許されますよね^_^
今回のお話、アンドレはどうやってパリに通うのだろうと思っていたので、それが判明して安心しました(笑)
衛兵隊のみんなが泊まっていった翌日は、荷車隊に沢山の兵士が護衛に付いて、村人達も安心ですね。
きっとそれで、グランディエ夫妻は村人に受け入れられて行くでしょう。
ガストンの力も大きいんだろうなぁ。
ところで今更な質問なんですが、「狼谷村」はなんとお読みするのでしょうか?
教えていただけると幸いです(^o^;
長くなってしまいました。
また次のお話も楽しみにしてます。
暁シリーズの新作、ありがとうございます。
私、暁シリーズ、本当に好きなんです。
革命後の混乱や、オスカル様の病や、アンドレの目のことや、いろんな難題を抱えながらも二人が愛を育んで、幸せを感じている・・・・。
衛兵隊のみんなも元気だし、嬉しすぎます。
読んでいて自分も幸せな気持ちになれます。
もちろん、原作崇高ですが、二人の幸せな時間があまりにも短くて、それが悲しくて悲しくてしょうがなかったのです。
二次の世界なら、許されますよね^_^
今回のお話、アンドレはどうやってパリに通うのだろうと思っていたので、それが判明して安心しました(笑)
衛兵隊のみんなが泊まっていった翌日は、荷車隊に沢山の兵士が護衛に付いて、村人達も安心ですね。
きっとそれで、グランディエ夫妻は村人に受け入れられて行くでしょう。
ガストンの力も大きいんだろうなぁ。
ところで今更な質問なんですが、「狼谷村」はなんとお読みするのでしょうか?
教えていただけると幸いです(^o^;
長くなってしまいました。
また次のお話も楽しみにしてます。
もんぶらん様
ベルばら3が日に暁シリーズの最新作をアップして下さり、ありがとうございます!!
本当に幸せな気持ちになりました。
大大大好きな暁シリーズ、私も『アンドレを送っていき隊』に加わりたい♪
続きを楽しみに待っています。
ベルばら3が日に暁シリーズの最新作をアップして下さり、ありがとうございます!!
本当に幸せな気持ちになりました。
大大大好きな暁シリーズ、私も『アンドレを送っていき隊』に加わりたい♪
続きを楽しみに待っています。
もんぶらんさま、ついに!暁シリーズの本編連載再開!!
嬉しくてたまりません(涙)
私が暁シリーズと出会ってちょうど10年になりますが、
しつこいかなぁと思いつつも、待ち続けて本当によかった…!
…なんて、勝手に思っております笑
今回のお話、アンドレはどうやって出勤するんだろう?ふたりは勤務日が違うのに、と気になっていたので大変安心しております笑
これからのふたりの未来に光が見えるようなお話を読めて、とても嬉しいです。そして、骨太で読み応えのある展開も大好きです。これぞ暁シリーズ!
2025年だからこそのもんぶらんさんの物語、続きをお待ちしております〜♪
まだまだふたりにたくさんのことをさせてあげて下さいませ。
嬉しくてたまりません(涙)
私が暁シリーズと出会ってちょうど10年になりますが、
しつこいかなぁと思いつつも、待ち続けて本当によかった…!
…なんて、勝手に思っております笑
今回のお話、アンドレはどうやって出勤するんだろう?ふたりは勤務日が違うのに、と気になっていたので大変安心しております笑
これからのふたりの未来に光が見えるようなお話を読めて、とても嬉しいです。そして、骨太で読み応えのある展開も大好きです。これぞ暁シリーズ!
2025年だからこそのもんぶらんさんの物語、続きをお待ちしております〜♪
まだまだふたりにたくさんのことをさせてあげて下さいませ。
瀬津瑜さま
半年近く遊びほうけていたのに、お越し頂き有り難うございます!模擬戦は想像するに楽しそうだけど、国民衛兵隊チームのオリキャラを一杯生み出す必要があるので、書く予定ないんですよ。ベルキャラでやるなら、現代設定で、リーグ最下位、負けたらリーグ落ち決定間近なダメサッカーチーム、ガルドフランセーズに赴任したジャルジェ(娘)監督が不良選手を纏め上げ、勝ち進み、ついにジャルジェ父監督率いる優勝候補ガルドロワイヤルチームと対戦!なんてSSを考えたことありますけれど。親子対決したいので、O様は監督なんですけど、選手としても活躍して欲しい、A君はキーパーで出したい、どうしよう、と真っ剣に悩みました。一文字も書いてないのに。誰か書いてくれません?
半年近く遊びほうけていたのに、お越し頂き有り難うございます!模擬戦は想像するに楽しそうだけど、国民衛兵隊チームのオリキャラを一杯生み出す必要があるので、書く予定ないんですよ。ベルキャラでやるなら、現代設定で、リーグ最下位、負けたらリーグ落ち決定間近なダメサッカーチーム、ガルドフランセーズに赴任したジャルジェ(娘)監督が不良選手を纏め上げ、勝ち進み、ついにジャルジェ父監督率いる優勝候補ガルドロワイヤルチームと対戦!なんてSSを考えたことありますけれど。親子対決したいので、O様は監督なんですけど、選手としても活躍して欲しい、A君はキーパーで出したい、どうしよう、と真っ剣に悩みました。一文字も書いてないのに。誰か書いてくれません?
suzuさま
私が見たい二人の姿を何のストーリー展開も考えず、だらだら書いているだけの暁シリーズなんですけど、どうやら一番人気(当社比)らしいんです。これ、起承転結ないし、テーマもはっきりしないし、どうしようと思っていました。なのに、再開を希望される声を聞くので・・・つまりだらだら好き勝手でいいのかあ、と思うようになりました。
アンドレの通勤手段、ご心配いただきありがとうございます(笑)。脳内妄想全て書くととんでもなくさらに長くなっちゃうので書きませんが、荷馬車隊、行きは荷物満載しているので人間が軽く駆け足するスピードしか出ないので、若いアンドレ送り隊員にはえっほえっほと走っていただこうとか、そのうち誰かが村娘と♡♡になっちゃうかも、とか、クリスティーヌは狼谷村にいたことになるんだよね、アンドレ彼女が村を出て帰っていないこと噂で聞くよね、どうしよう、とかいろいろあるんです。そうか、ストーリー展開とか、情報過多とか考えずにだらだらしていいのか。何か、リラックスできました。ありがとうごさいます!
狼谷村は「おおかみたにむら」シンプルにまんまです。実際パリの郊外に Vallée‑aux‑Loups というところがあります。行ったことはないのですけど、村ではなく文化施設のようです。https://hds.hauts-de-seine.fr/magazine/a-la-vallee-aux-loups-oublier-le-monde/
フランスの農村、どこ切り取っても絵になる(うっとり)♡
私が見たい二人の姿を何のストーリー展開も考えず、だらだら書いているだけの暁シリーズなんですけど、どうやら一番人気(当社比)らしいんです。これ、起承転結ないし、テーマもはっきりしないし、どうしようと思っていました。なのに、再開を希望される声を聞くので・・・つまりだらだら好き勝手でいいのかあ、と思うようになりました。
アンドレの通勤手段、ご心配いただきありがとうございます(笑)。脳内妄想全て書くととんでもなくさらに長くなっちゃうので書きませんが、荷馬車隊、行きは荷物満載しているので人間が軽く駆け足するスピードしか出ないので、若いアンドレ送り隊員にはえっほえっほと走っていただこうとか、そのうち誰かが村娘と♡♡になっちゃうかも、とか、クリスティーヌは狼谷村にいたことになるんだよね、アンドレ彼女が村を出て帰っていないこと噂で聞くよね、どうしよう、とかいろいろあるんです。そうか、ストーリー展開とか、情報過多とか考えずにだらだらしていいのか。何か、リラックスできました。ありがとうごさいます!
狼谷村は「おおかみたにむら」シンプルにまんまです。実際パリの郊外に Vallée‑aux‑Loups というところがあります。行ったことはないのですけど、村ではなく文化施設のようです。https://hds.hauts-de-seine.fr/magazine/a-la-vallee-aux-loups-oublier-le-monde/
フランスの農村、どこ切り取っても絵になる(うっとり)♡
みかん55さま
あまりにもムビ界隈で遊び惚けていたので、せっかくの三が日、1編しかUPできませんでした。アンドレ送り隊に反応してくださる方、結構いらっしゃって(笑)。アンドレは人に頼ることをお勉強中です。
あまりにもムビ界隈で遊び惚けていたので、せっかくの三が日、1編しかUPできませんでした。アンドレ送り隊に反応してくださる方、結構いらっしゃって(笑)。アンドレは人に頼ることをお勉強中です。
待っていました、っていやん、涙出そうです。フラフラ遊んでいたのに。遊びも芸の肥やしになりました(何か某映画に影響されてる感が…)ので、頻度はゆっくり目になりますが、連載再開できそうです。待っていてくださったおかげです。思いつくままテキトーだらだらでいいのか!趣味だもんね、と一皮むけたというか開き直りの境地に達しました。ありがとうございます!
またまた、アンドレの通勤手段のご心配ありがとうございます。そういう具体的な設定を考えるのが好きなので、どうしても長くなっちゃうんですね。物語上には書いていないけれど、ここはこう、あそこはこう、という裏設定がいっぱいあります。その裏設定のために資料漁りして、ハマり、戻ってこれなくなり、肝心の物語の進行が遅れるなんてことも常態になっています。もう少し、テキトー感を取り入れる必要性を感じるこの頃です。徹夜とかもうできません(^^♪
整合性とかもう考えずに、二人にしてほしいこと、どんどんやっていただこうと思います!
またまた、アンドレの通勤手段のご心配ありがとうございます。そういう具体的な設定を考えるのが好きなので、どうしても長くなっちゃうんですね。物語上には書いていないけれど、ここはこう、あそこはこう、という裏設定がいっぱいあります。その裏設定のために資料漁りして、ハマり、戻ってこれなくなり、肝心の物語の進行が遅れるなんてことも常態になっています。もう少し、テキトー感を取り入れる必要性を感じるこの頃です。徹夜とかもうできません(^^♪
整合性とかもう考えずに、二人にしてほしいこと、どんどんやっていただこうと思います!
おかえりなさいませ(*^^*)
「アンドレを送っていき隊」いいですね♡
新作読めてとても嬉しいです!
皆で囲む食卓。
一緒に戦い、これからも共にあるで
あろう仲間たち。
わちゃわちゃな衛兵隊員たちとの
やりとり、大好物です!
アランも切ないけど、幸せな2人をみるのはなによりも幸せだと思います。
伴侶と互いを呼べる世界(*^^*)
一点豪華主義、惚気るオスカルさま。
もう気合いとアンドレの愛のメンテで
体は治していただいて(>_<)
バターの滋養で治りませんか?(>_<)
もんぶらん様の暁シリーズは
私が生存if二次を知って夢中になった
原点なので、
もうずっと続いてほしいです♡
「アンドレを送っていき隊」いいですね♡
新作読めてとても嬉しいです!
皆で囲む食卓。
一緒に戦い、これからも共にあるで
あろう仲間たち。
わちゃわちゃな衛兵隊員たちとの
やりとり、大好物です!
アランも切ないけど、幸せな2人をみるのはなによりも幸せだと思います。
伴侶と互いを呼べる世界(*^^*)
一点豪華主義、惚気るオスカルさま。
もう気合いとアンドレの愛のメンテで
体は治していただいて(>_<)
バターの滋養で治りませんか?(>_<)
もんぶらん様の暁シリーズは
私が生存if二次を知って夢中になった
原点なので、
もうずっと続いてほしいです♡
まここさま
楽しんで頂けたようで良かったです!
>生存if二次を知って夢中になった原点
これはこれは光栄です。生存Ifは賛否極端に分かれるところですし。
生存ifを妄想した時、頭に浮かんだのはオスカルさまを囲んでワイワイと騒ぐ衛兵隊員とその後ろでニコニコしているアンドレだったんです。
そんな映像が浮かび、それを元に文字に起こしてみたのが今回の、ただの日常の一コマを描写しただけの回です。
二人とも惚気ているだけ(W)で、すみませんねえ。
楽しく続けさせていただきます☺️
楽しんで頂けたようで良かったです!
>生存if二次を知って夢中になった原点
これはこれは光栄です。生存Ifは賛否極端に分かれるところですし。
生存ifを妄想した時、頭に浮かんだのはオスカルさまを囲んでワイワイと騒ぐ衛兵隊員とその後ろでニコニコしているアンドレだったんです。
そんな映像が浮かび、それを元に文字に起こしてみたのが今回の、ただの日常の一コマを描写しただけの回です。
二人とも惚気ているだけ(W)で、すみませんねえ。
楽しく続けさせていただきます☺️
もんぶらん様
暁シリーズ新作を載せていただきありがとうございます。
男たちのわちゃわちゃ感と、それに埋もれるオスカル様とアンドレのお惚気。隠したいけど(違うか!)漂っていますもんねー。ミルクがバターチャーンでバターになるのに通常6時間もかかるとは驚きでした!アランがしこしこと4時間もかけて作ったバター、とろけるような味を堪能されるオスカル様をあなたのためにと想像しながら精を出したことでしょう。報われないけどアラン頑張れ!
暁シリーズ新作を載せていただきありがとうございます。
男たちのわちゃわちゃ感と、それに埋もれるオスカル様とアンドレのお惚気。隠したいけど(違うか!)漂っていますもんねー。ミルクがバターチャーンでバターになるのに通常6時間もかかるとは驚きでした!アランがしこしこと4時間もかけて作ったバター、とろけるような味を堪能されるオスカル様をあなたのためにと想像しながら精を出したことでしょう。報われないけどアラン頑張れ!
リヴァイラブラーフルさま
ほんとわちゃわちゃしているだけの一コマですよね。どうぞ、お気をつけください。18世紀末のフランスでバターが6時間かかるかどうかなんて、そんなのフィクションですから!でもアランが報われないのは史実です。なんてね。彼の不器用さが、目の離せないポイントとして光っているんです。アランち相性のいい女性ってどんな女性でしょうね。素直じゃない照れ屋さんですから、猪突猛進型の情熱的でアランを押し倒すくらいにイキのいい素直な女性かしら。ル・ルーちゃんみたいに。
ほんとわちゃわちゃしているだけの一コマですよね。どうぞ、お気をつけください。18世紀末のフランスでバターが6時間かかるかどうかなんて、そんなのフィクションですから!でもアランが報われないのは史実です。なんてね。彼の不器用さが、目の離せないポイントとして光っているんです。アランち相性のいい女性ってどんな女性でしょうね。素直じゃない照れ屋さんですから、猪突猛進型の情熱的でアランを押し倒すくらいにイキのいい素直な女性かしら。ル・ルーちゃんみたいに。
昔から、この暁シリーズが大好きで更新ありがとうございます。
繰り返し々読んでいます。
さて、オスカル様にとって、贅沢・豪華一点主義とは何でしょうかね??
少なくとも、食事に関してはそうでは無いと思います。昔、ケガした時、ロザリーの作った野菜が浮いた薄いスープを食べた時から食事に関しては贅沢ではなくなったと思います。庶民と同じように時にはお腹が空く思いをする時を設けるとかそんな生活が始まったかな、と想像するのです。
ご自分では身体に自信があっても空きっ腹では軍隊生活は続かず胸を患ってしまった、と解釈してるのです。
繰り返し々読んでいます。
さて、オスカル様にとって、贅沢・豪華一点主義とは何でしょうかね??
少なくとも、食事に関してはそうでは無いと思います。昔、ケガした時、ロザリーの作った野菜が浮いた薄いスープを食べた時から食事に関しては贅沢ではなくなったと思います。庶民と同じように時にはお腹が空く思いをする時を設けるとかそんな生活が始まったかな、と想像するのです。
ご自分では身体に自信があっても空きっ腹では軍隊生活は続かず胸を患ってしまった、と解釈してるのです。
マリアンヌさま
昔から、お付き合いくださっているとのこと、嬉しいです。
今回のお話の中では、オスカルさまの言う豪華一点主義の贅沢、とはもちろんアンドレですね。
愛し合う者同士で夫婦になること、それ自体が稀有だった時代ですので、愛する人を夫にしたこと、それ以上の贅沢はないわけです。
マリアンヌさま仰る通り、実際にパリで薄いスープを食したことは、オスカルさまの意識を変えたに違いありません。質実剛健として知られていたジャルジェ家ですが、原作にある自分の家の食事を思い起こすシーンを見ると、豪華ですよね。目の当たりにした落差に、生活様式を変えたかもしれません。胸を患った原因も、確かに衛兵隊員の生活に合わせようとしたからという解釈も頷けます。
ただね~、お酒と武器コレクションと、馬、楽器には拘ったんじゃないかな~とも思っています。でも、どれも「夫」という贅沢の目の前では霞んじゃった、とか。そうであってほしいです。
昔から、お付き合いくださっているとのこと、嬉しいです。
今回のお話の中では、オスカルさまの言う豪華一点主義の贅沢、とはもちろんアンドレですね。
愛し合う者同士で夫婦になること、それ自体が稀有だった時代ですので、愛する人を夫にしたこと、それ以上の贅沢はないわけです。
マリアンヌさま仰る通り、実際にパリで薄いスープを食したことは、オスカルさまの意識を変えたに違いありません。質実剛健として知られていたジャルジェ家ですが、原作にある自分の家の食事を思い起こすシーンを見ると、豪華ですよね。目の当たりにした落差に、生活様式を変えたかもしれません。胸を患った原因も、確かに衛兵隊員の生活に合わせようとしたからという解釈も頷けます。
ただね~、お酒と武器コレクションと、馬、楽器には拘ったんじゃないかな~とも思っています。でも、どれも「夫」という贅沢の目の前では霞んじゃった、とか。そうであってほしいです。
獄暑が続く中ですが お元気でいらっしゃいますか?
新作のUP 本当に嬉しいです。
そして、O様の最高のお惚気♡ もんぶらん様らしいテンポのあるお話しの進み方♪ どちらもとっても「わぁ〜〜い、らしいなぁ〜♡」 と、満喫させていただきました!
そして、O様は 病魔に打ち勝つ心の希望を 強くなさった事でしょうね…と、確かな希望の灯を 私の胸の内にも強く灯す事ができました╰(*´︶`*)╯♡。
こればかりは もんぶらん様がどうお考えなのか まだ全くわからないのですけれども…。
私は 18kでなくても全く構わないのです。
こんな風に 幸せな、 部下達の面前でも夫婦としての情愛を隠すことなく 自然に振る舞える2人を見られる事は ファンの1人として大きな喜びでした!
本当に佳いものを読ませていただき ありがとうございました。
今後の御作品も 心から楽しみにしております。
何のお力にもなれずに ならずに 厚かましかしら…? ごめんなさい。
でも、ほんとうに 楽しみにさせていただいております。
ありがとうございました。
新作のUP 本当に嬉しいです。
そして、O様の最高のお惚気♡ もんぶらん様らしいテンポのあるお話しの進み方♪ どちらもとっても「わぁ〜〜い、らしいなぁ〜♡」 と、満喫させていただきました!
そして、O様は 病魔に打ち勝つ心の希望を 強くなさった事でしょうね…と、確かな希望の灯を 私の胸の内にも強く灯す事ができました╰(*´︶`*)╯♡。
こればかりは もんぶらん様がどうお考えなのか まだ全くわからないのですけれども…。
私は 18kでなくても全く構わないのです。
こんな風に 幸せな、 部下達の面前でも夫婦としての情愛を隠すことなく 自然に振る舞える2人を見られる事は ファンの1人として大きな喜びでした!
本当に佳いものを読ませていただき ありがとうございました。
今後の御作品も 心から楽しみにしております。
何のお力にもなれずに ならずに 厚かましかしら…? ごめんなさい。
でも、ほんとうに 楽しみにさせていただいております。
ありがとうございました。
もんぶらん様、素晴らしすぎる新作を拝読できた幸せを一言でもお伝えしたくて、のこのこ出て来てしまいました💦🙇🙇😭😭
幸せすぎるオスカルさま、アンドレ氏、ちょっと切ないアラン(本当に良い男性に成長しました😢)、温かい思いに溢れた楽しい夕食の賑わいが伝わって来るようです…。
豪華一点主義のオスカルさま。
手放さざるを得なかったものも勿論沢山あったけれど、何よりも得難い、最高な伴侶を手にすることの出来た喜び✨✨
きっと病魔もどこかへ逃げ去るんじゃないかな…なんて😢😢
お忙しいとは存じますが、これからもずっとずっとモンブラン様の作品に触れる幸せが続きます様に…😭
本当本当にありがとうございました!🙇🙇😭
幸せすぎるオスカルさま、アンドレ氏、ちょっと切ないアラン(本当に良い男性に成長しました😢)、温かい思いに溢れた楽しい夕食の賑わいが伝わって来るようです…。
豪華一点主義のオスカルさま。
手放さざるを得なかったものも勿論沢山あったけれど、何よりも得難い、最高な伴侶を手にすることの出来た喜び✨✨
きっと病魔もどこかへ逃げ去るんじゃないかな…なんて😢😢
お忙しいとは存じますが、これからもずっとずっとモンブラン様の作品に触れる幸せが続きます様に…😭
本当本当にありがとうございました!🙇🙇😭
くうちゃんさま
楽しんでいただけて嬉しいです。
優しい励ましの言葉、心がホワンと温かくなりました。
猛暑よりも、歳のせいか仕事を終えるとぐったりと抜け殻になってしまう日々なので
元気をチャージしていただいたようです。
オスカルさまは、病魔と真っ向から対決するよりも「折り合う」ことを
選んだようです。病魔を打ち負かしたいのはむしろアンドレの方で
病魔から大事な人を守ろうと必死なんです。その余裕の無さを
オスカルさまは軌道修正と言うか、彼には戦う毎日よりも幸せな時間を共に
過ごしてほしい、そのために動き出すという方向で私の中では物語が進んでいます。
とはいえ、まだどうなるか私にもわかりません。
もう少しお付き合いください。
楽しんでいただけて嬉しいです。
優しい励ましの言葉、心がホワンと温かくなりました。
猛暑よりも、歳のせいか仕事を終えるとぐったりと抜け殻になってしまう日々なので
元気をチャージしていただいたようです。
オスカルさまは、病魔と真っ向から対決するよりも「折り合う」ことを
選んだようです。病魔を打ち負かしたいのはむしろアンドレの方で
病魔から大事な人を守ろうと必死なんです。その余裕の無さを
オスカルさまは軌道修正と言うか、彼には戦う毎日よりも幸せな時間を共に
過ごしてほしい、そのために動き出すという方向で私の中では物語が進んでいます。
とはいえ、まだどうなるか私にもわかりません。
もう少しお付き合いください。
またたびさま!
お久しぶりです!のこのこ大歓迎です、お元気でしたか?
アラン、切ないですよね。
でも、それでものこのこと新婚家庭に上がり込むんです。
アンドレは見えないし、オスカルさまは胸を病んでいる。
二人まとめて心配で仕方ないんですよ。
何かあったらすぐ手助けできるところにいたいんです。
で、叶わない相手を愛してしまった経験が
オスカルさまにもアンドレにもありますから、
二人もアランの選択に口を出す気はさらさらない。
叶わずとも思い続けるか、断ち切るか、決めるのは
本人だけだと知っていますから。
わざわざ見せつけるようなことはしなくても、
夫婦らしい姿を隠したりはしないし、アランに遠慮もしません。
その方がアランを傷つけると古文の経験から知っているからです。
とは私の解釈に過ぎませんけどね。
長らくお付き合いくださって本当にありがとうございます。
もうしばらく、ご辛抱の上お付き合いくださいませ。
お久しぶりです!のこのこ大歓迎です、お元気でしたか?
アラン、切ないですよね。
でも、それでものこのこと新婚家庭に上がり込むんです。
アンドレは見えないし、オスカルさまは胸を病んでいる。
二人まとめて心配で仕方ないんですよ。
何かあったらすぐ手助けできるところにいたいんです。
で、叶わない相手を愛してしまった経験が
オスカルさまにもアンドレにもありますから、
二人もアランの選択に口を出す気はさらさらない。
叶わずとも思い続けるか、断ち切るか、決めるのは
本人だけだと知っていますから。
わざわざ見せつけるようなことはしなくても、
夫婦らしい姿を隠したりはしないし、アランに遠慮もしません。
その方がアランを傷つけると古文の経験から知っているからです。
とは私の解釈に過ぎませんけどね。
長らくお付き合いくださって本当にありがとうございます。
もうしばらく、ご辛抱の上お付き合いくださいませ。
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