11月10日(土)に『MA』を観て来ました。初演は2006年、遠藤周作氏原作のマリー・アントワネットを元にミヒャエル・クンツェ脚本、シルヴェスター・リーヴァイ曲で創作されたミュージカルです。
初演を観た時は良くも悪くもあまり印象に残りませんでした。何だかラ・セーヌの星みたいな筋書きで、ちょっといけ好かないアントワネットね、というのが当時の感想。あとはほぼ覚えていない。
今回、ふと思い立ってチケットを買ったのですが、あまり期待はしていませんでした。ところがです。
幕が開いてすぐ登場するのはフェルゼン伯なんですか、フェルゼン役の田代万里生さんの歌唱に度肝を抜かれました。後で調べたら歌えるの当然の経歴の持ち主だったのですが、何せ固有名詞覚えられない私は俳優の名もバックグラウンドもほぼ無知なんです。
ほぼセリフが歌である形式のミュージカルでは、セリフの内容がよく聞き取れなくて話の進行が???となってしまうことがよくあります。あるのかな?ワタシだけかな? ま、ともかく、歌詞もとっても聴き取り易くて良かったです。きっと訳もいいのでしょうね。
この日の主演はソニンさんと笹本玲奈さん。もんぶらんは二人とも10年以上前にいくつか出演作を拝見していて、若いけど骨のある役者さんだなーと思っていましたが、特別に印象強かったわけでもありませんでした。当時、もんぶらんを圧巻させていたのは大竹しのぶさんや加賀譲二さん、松本幸四郎さんら。大御所も大御所。そりゃ、20代の女の子はちょっと霞んじゃうよね。
10年ぶりくらいにこの二人を拝見したら、別人のように成長していて目を見張りました。歌唱力もさることながら、演技は今風に言えばゾーンに入っているって言うのかな、何かと繋がっているような迫力がありました。
マリー・アントワネットの運命はよく知られたストーリーなのに部隊終盤の親子が引き離される場面では会場からすすり泣きまで聞こえました。アントワネットが殺されたことを知ったフェルゼン伯、もっと狂気じみた所見せてよ~と若干の陸エストしたくなるところもありましたが、とにかく骨太でカッコいいフェルゼンでした。
F伯がカッコよく見えたのは、この4月に観た『1789年バスティ―ユの恋人たち』に登場したF伯がちょっと夢見る恋する青年で、アントワネットの方がオトナな位置関係だったことが印相強く残って居いたからかも知れません。『MA』のフェルゼンは成熟した男を見せてくれました。長身でカッコ良かったし❤
シリアスなストーリーのバランスを軽くするコミカルな役どころが登場するのもミュージカルのお約束ですよね。
レ・ミゼならテナルディエ夫妻、ミス・サイゴンならエンジニア、1789年なら秘密警察の二人。この『MA』ではローズ・ベルタンと髪結いのレオナールがその役どころを担っていました。初演にもいたのかなあ。覚えないなあ。どなたか覚えていません?
お陰様で良い週末を過ごすことができました。思いつきで観劇したのだけれど、行って良かったです。週末で歩きましたので、PW配布をお待ちいただいた方が何人かいらっしゃいます。すみません。ありがとうございました。